やさしく解説!よくわかる甲状腺の病気
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首(のど)に腫れがある

こちらでは、首全体に腫れがあったり、一部にしこりがあったり、首全体が太ったように見えるなど、症状別に考えられる甲状腺の病気や一緒に現れる症状について解説します。

症状別に考えられる甲状腺の病気や、一緒に現れる症状

甲状腺は喉ぼとけの両側にあるラグビーボールのような形の器官で、身体全体の新陳代謝を促進する生きてゆく上で欠かせない甲状腺ホルモンを出しています。

甲状腺ホルモンのバランスは脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)で調整されていますが、このバランスが崩れると様々な病気が起きてきます。

甲状腺の病気は、ホルモンバランスが崩れる「機能亢進症」「機能低下症」などの機能的なものと、腫れの具合から見た「甲状腺腫」があり、腫れ方にもバセドウ病や橋本病などのように全体が腫れる「びまん性甲状腺腫」や一部がしこりになった「結節性甲状腺腫」があります。

甲状腺腫瘍は20歳代から50歳代の女性に多く、しこりのほかに何も自覚症状がないというのが特徴です。

全体的に首が腫れたり首が太くなったらびまん性甲状腺腫の疑い

成長期(思春期)に多く見られ、甲状腺が全体的に腫れるだけの病気で、腫瘍や炎症はなく、ホルモン異常もありませんが、将来的に見ると甲状腺機能に異常が生じる可能性もあるので定期的に検査して観察する必要があります。

治療方法

ただ腫れているだけなので、とくに治療する必要はないのですが、将来バセドウ病や橋本病などになる可能性があるため、血液検査や超音波(エコー)検査を定期的に行って、ホルモンの値をチェックし、腫瘍の有無を検査する必要があります。

部分的なしこりは結節性甲状腺腫かも…

甲状腺の病気で一番多いのが結節性甲状腺腫で、超音波(エコー)検査をすると10人に3人の割合で甲状腺にシコリ(結節)があるそうです。最近は超音波技術の進歩や、検診などで超音波を使うので、手で触れないような小さいシコリも見つかっています。

日本甲状腺学会が発行している『甲状腺結節取り扱い診療ガイドライン』によれば、甲状腺結節は人間ドックの触診で見つかる割合は1%ほど。検査技術の発達でさらに増えているそうです。
甲状腺結節があるからといって必ずしも悪性腫瘍というわけではありません。多くが非腫瘍性の病変で、良性の濾胞腺腫と非腫瘍性の病変が上位を占めているそうです。ほとんどが良性ですから過剰に心配する必要はありません。

日常診療で遭遇する結節の内訳として,最も多いのは非腫瘍性病変である腺腫様結節(複数個であれば腺腫様甲状腺腫)であり,次いで良性腫瘍の濾胞腺腫である。悪性腫瘍の内では乳頭癌が約 9 割を占める。濾胞癌は欧米では 15%程度とされるが,わが国では少なく 5〜 6%である

出典:『甲状腺結節取り扱い診療ガイドライン』日本甲状腺学会雑誌 Vol. 1 No. 2/Oct. 2 [PDF]
http://www.japanthyroid.jp/common/20100102_03.pdf

ただし、結節性甲状腺腫(甲状腺がん)が疑われる場合は要注意。
しこりがあることがわかったら細胞診を行い、細胞が甲状腺腫なのかを検査することとなります。検査の結果、甲状腺腫と判断されるケースで最も多いのが乳がんで全体の約9割と言われています。
また、いったん細胞診で良性とわかったとしても、経過観察をすることが推奨されています。

細胞診で良性と診断された場合でも経過観察が必要である.何故,良性なのに 経過をみる必要があるかについて,その理由を 説明する.まず,穿刺吸引細胞診で良性と診断 された症例でも,false-negativeが 5% 程度存在 する.2 番目の理由は,経過とともに腫瘍サイズ が縮小する例もあるが,反対に増大する例が多 い

出典:『III.甲状腺2.画像で偶然発見される甲状腺腫瘤への対応』日本内科学会雑誌,103(4),2014 [PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/4/103_862/_pdf/-char/ja

甲状腺のシコリの95%は良性腫瘍

シコリが1つだけの場合と2つ以上のものがありますが、1つのときは腺腫か嚢腫で、2つ以上のときは腺腫様甲状腺腫です。

いずれにしても良性か悪性かどうかが問題です。最近は甲状腺の超音波検査と穿刺吸引細胞診で良性か悪性かの診断がつけられます。超音波は診察時にその場でできますし、穿刺吸引細胞診は座ったままの状態で細い注射針を刺してほんの少し細胞を採って顕微鏡で見ます。最近は超音波下穿刺吸引細胞診といって超音波で見ながら針を刺して細胞を採れるようになったので1cm以下のシコリでも調べられるようになりました。

良性と診断されたら、ほとんどの場合は経過を観察し手術は行いません。甲状腺のシコリの95%は良性腫瘍で、悪性の甲状腺がんはシコリの5%です。

甲状腺にシコリを感じると、すぐがんではと心配になるかもしれませんが、ほとんどが良性なので、とりあえず専門の内科か耳鼻科を受診してください。

甲状腺の病気を疑ったら、早めに病院へ

これらの症状に思い当たるフシがあり、「ひょっとしたら甲状腺の病気かも…」とお思いなら、なるべく早めに病院で診察してもらいましょう。

日本には、甲状腺の病気の罹患者が500~700万人もいると言われており、20人に1人ほどの割合で甲状腺に何らかの異常を持っていることになります。つまり、決して珍しい病気ではなく、誰しもかかる可能性がある身近な病気なのです。

甲状腺の病気には「免疫力」と「代謝」で立ち向かう!

甲状腺の病気の予防・対策には、日常のセルフケアが重要です。まず心がけたいのは以下の3ポイントです。

ストレスをためない

過度なストレスは、ホルモンの分泌を低下させ、代謝を落とし、自律神経を乱します。さらに、不眠や消化不良などの身体的な不調も原因となります。ストレスをためない生活環境を心がけることが大切です。
甲状腺の病気の中でも、甲状腺クリーゼと呼ばれる病気はストレスが原因で引き起こされるケースもある病気です。甲状腺クリーゼとは、生命の危険を脅かすような甲状腺中毒で、日本でも年間150件ほど発生していると言われています。

コントロール不良な甲状腺機能中毒症では, 感染,手術,ストレスを誘因として高熱,循環 不全,ショック,意識障害などを来たし,生命 の危険(致死率 10%以上)を伴う場合がある. このような生命を脅かすような甲状腺中毒状態 は甲状腺クリーゼ(thyrotoxic storm or crisis)と呼ばれている1).発症機序は不明であり,臨床 的所見によって定義されている.多臓器における非代償性状態を特徴とし,高熱,循環不全, 意識障害,下痢・黄疸などを呈する.しばしば 感染,手術,ストレスなどを誘因として発症する.

出典:『甲状腺クリーゼ』日本内科学会雑誌,105(4),2016 [PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/105/4/105_653/_pdf

ストレスは、ときに甲状腺に甲状腺クリーゼのような救急性の高い病気を引き起こすこともありえます。また、ストレスは増すので注意しましょう。

免疫力を高める

甲状腺の病気の多くは、自己免疫疾患が原因といわれています。自己免疫疾患は、様々な免疫の低下が引き金となって発病することが多く、体内の毒素を輩出し代謝を改善させることで、免疫力アップを心がけましょう。

自己免疫性の甲状腺疾患は、バセドー病と橋本病の2つがあります。バセドー病は難治性の病気として知られ、症状を緩和するには投薬治療、放射線療法、手術療法などが治療方法として採用されます。

自己免疫性甲状腺疾患にはBasedow病と橋本病がある.Basedow病の原因はTSH受容体抗体(TRAb)である.橋本病では抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体・抗サイロブロブリン(TG)抗体が陽性になる.TRAbには刺激抗体TSAbとブロッキング抗体TSBAbがある.刺激抗体TSAbはBasedow病,ブロッキング抗体TSBAbは甲状腺機能低下症の原因である

出典:『1.甲状腺自己免疫疾患の診断と治療』日本内科学会雑誌,97,2008 [PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/Suppl/97_103a/_pdf/-char/ja

そもそも、甲状腺疾患の中でも自己免疫性と呼ばれるこうした病気は体が外部のウイルスや細菌から身を守るための働き(自己免疫機能)が正常に働かなくなり、自分の体に対しても攻撃素をしてしまうことが原因です。

実は、まだなぜ自己免疫が起こってしまうかについては原因がよくわかっていません。ただ、傾向としてストレスと免疫の低下が発病しやすいという説もあるようです。

代謝の正常化

甲状腺は代謝をコントロールするホルモンを分泌しており、このホルモン量の変動こそ甲状腺の病気の根源です。代謝の正常化をアシストすることで、病状の悪化予防や再発防止にも効果を発揮します。

慢性的な甲状腺炎を生じる橋本病は、甲状腺機能が低下して引き起こされる病気です。無症状の場合もありますし、甲状腺機能が正常なケースも多い一方で患者の1割は甲状腺機能低下症になると報告されています。

甲状腺機能低下症は特有の顔貌,声,話し方から診断する.またその特徴的な声から電話で診断できる.初期の症状は非特異的で,多彩である.甲状腺ホルモン欠乏により,代謝が低下し,ムコ多糖類が沈着し,粘液水腫がみられる.臨床症状は 2 つに分けることができる.I.甲状腺ホルモン欠乏による新陳代謝低下の症状とII.粘液水腫性浸潤による症状である.粘液水腫性浸潤はヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸に富むムコ蛋白の組織間隙への沈着による.浮腫は粘液水腫であり,圧痕を残さないnon-pitting edemaである

出典:『1.Basedow病・橋本病:診断と治療』日本内科学会雑誌,97 (9),2008 [PDF]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/9/97_2217/_pdf/-char/ja

このように、甲状腺の病気によって代謝が低下するケースもありますので、代謝アップに日頃から努めておくといいでしょう。

ストレスについては、日頃からためない・発散させることが大事ですが、「免疫力」と「代謝」を自然に高めるのは中々難しいものです。

そこで注目したいのが『酵素』のパワーです。免疫力&代謝アップに役立つ働きと、おすすめの酵素の選び方を紹介しているので、参考にしてみてください。

【特集】甲状腺を守るためにキーワードは『酵素』

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