やさしく解説!よくわかる甲状腺の病気
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食欲があるのに痩せてくる

こちらでは、食欲があるのに痩せてくる、といった甲状腺の病気の症状や、そのほかの症状について解説します。

体重減少のチェックポイント

最近体重が減っている…と感じる場合は、次のチェックポイントの中で該当するものがどれくらいあるか確認してみてください。

これらの中で該当する項目が多い場合、原因を突き止めて対策を取らなければ更に体重が減ってしまう恐れがあります。その裏側には病気やうつ病が隠れている可能性もゼロではないのです。

該当する項目が多く、体重の減少を感じている方は更に次の項目もチェックしてみましょう。

ダイエットしている毛ではないのに体重が減る場合、何らかの理由が考えられます。安易に「少し太り気味で気になっていたけれど、勝手に減ってくれてラッキー!」とは考えないようにしなければなりません。

自分でも気づけないストレスが原因になっていることも

例えば、明らかに普段よりも運動量が増えたり、食事量が減ったといったことについては、自分自身で自覚しやすいですよね。しかし、周りから見てわかりにくいのはもちろんのこと、本人でも気づきにくいのがストレスの問題です。精神的なことになってくるので、なかなか表面上には出てきません。

仕事が変わって覚えることが増えた、残業が多く毎日きちんと休みが取れていない、新しい職場に変わって人間関係に悩んでいるなど、ストレスを感じることはないでしょうか。他にも、家族の仲がうまくいっていない、将来やお金のことで悩みを抱えているなどもストレスに繋がる原因です。

更には、職場が寒すぎる、花粉が辛いといった肉体的なストレスの原因で体重が減ってしまうこともあるので、なにか該当するものがないかチェックしてみましょう。

1か月にどのくらい体重が減少すると危険?

体重が減っていると感じた場合は、どれくらい減っているのか?についてもしっかり確認しておくことが大切です。体重の減少に気づいた場合は、体重をメモしておくようにしましょう。病院などで相談をする際にも具体的なデータがあるとわかりやすいです。

体重が減るといっても、小さな体重の変動は特に珍しいものではありません。ほんの0.5~1キロ程度であればそれほど気にする必要はありませんが、具体的にどれくらい減っているのか確認することにより、それが危険なのか判断できます。

1つのポイントになってくるのが、それまでと生活が変わらないのにも関わらず、短期間(1ヶ月~半年ほどの間)に4~5キロ程度痩せた、またはそれ前に比べて5%ほど体重が減ったようなケースでは、何らかの原因が隠れている可能性があるといえるでしょう。

もしも10%以上体重が減ってしまった場合には免疫機能が大きく落ちてしまう可能性もあり、更に体重が減って20%以上になると、重度の栄養失調状態に陥るケースも少なくありません。このような状態になると臓器障害を招き、更に大きな力に繋がってしまう恐れも。

万が一原因不明の体重減少が起きている場合は、どれくらい減っているのかをチェックし、気になる場合は早めに医師に相談した方が安心です。

体重が増えない原因は次の4種類

体重が増えない理由の中には病気が原因となっているものもありますが、なぜ病気になると体重が増えないのか?についてもしっかり押さえておきたいですね。

大きな原因として挙げられるのが次の4つです。参考にしてみてください。

経口摂取量の不足

体重が減っている理由の一つとして考えられるのが、摂取エネルギーよりも消費エネルギーが上回っている状態です。例えば、ダイエットに取り組む際には食事量を減らし、運動増やし、消費エネルギーを増やそうとしますよね。

このような状態が起きていないのかを確認してみましょう。

第1のポイントになってくるのが、経口摂取量、つまり食事量の減少です。例えば、忙しい日が続いてまともな食事が取れない日が何日も続いていたり、アルコールを摂取しすぎて肝臓が疲れてしまい、食欲が出ないなど。

他にも精神疾患やパーキンソン病などの神経疾患が原因となることもありますし、がんなどの悪性腫瘍が経口摂取の減少を引き起こすことも珍しくありません。

意図的に食事の量を減らしているわけではないものの何となく食べる気が起きない…というような状態でも、何らかの体調不良や病気の可能性を疑ってみましょう。

吸収に関する障害

食事量が減っていないのに体重が落ちている場合、食事から摂取したエネルギーを体がうまく吸収できていない可能性も考えられます。例えば、胃腸に何らかの問題がある場合にこういった症状が起きやすくなるので、胃腸に不調を感じていないか確認してみてくださいね。

中には病院で詳しい検査を受けなければわからないものもありますが、普段から自分の体の様子についてよく理解しておくことは非常に大切です。

代謝機能の活発化

それまでと摂取しているエネルギー量が変わらなかったとしても、消費されるエネルギー量が増えれば体重は減っていきます。その理由として考えられるものの一つが、代謝機能が活性化し、消費エネルギーが増えているということです。

例えば、発熱した際にもエネルギー量は増えるので、風邪などが原因で長期にわたって発熱が続いた場合にはそれが原因で消費エネルギー量が増え、体重の減少がみられることもあります。他にも褐色細胞腫と呼ばれる腫瘍や、甲状腺機能亢進症などが原因となっている可能性もゼロではありません。

排泄の増加

摂取しているエネルギー量が増えておらず、消費されているエネルギーも増えていないけれど体重が減る…というようなケースでは、排泄が増えている可能性も疑われます。

こちらの場合、糖尿病や尿の中にたんぱく質が出ていくネフローゼ症候群などの可能性も考えますが、他にも体調を崩して下痢や嘔吐が続いた場合にも同じことがいえるのです。排泄が増加していないか確認しましょう。

食べているのに痩せるのは甲状腺の病気?

いくら食べても太らないなんて、ダイエット中の人からすればうらやましいことかもしれませんが、ちゃんと3食とっていて、特に運動もしていないのに痩せる場合は、何か病気にかかっている可能性があります。

自転車、水泳、ランニングといった毎日ハードな運動を続けているトライアスロンの選手は、1日6000kcal食べてもスリムな体型を保っていますが、ほとんど運動もせず、会社と自宅を往復してデスクワーク中心の仕事をしたり、家事をするくらいの生活だったら、腹八分目を心がけ、甘いものなども控えめにしないと簡単に太ってしまいます。

しかし、食べたいものを好きなだけ食べているのに、太らないどころか痩せてきたという場合は、甲状腺異常である可能性が高いです。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を活発にする働きがあるので、過剰分泌されたり、不足したりすると様々な症状が全身にあらわれます。

甲状腺に異常が生じ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになると体の代謝機能が異常に活性化されることがあります。その結果、運動していないにもかかわらず体がエネルギーを過剰に消費し、食べているのに痩せるという現象が引きおこされてしまうのです。

甲状腺ホルモンが過剰になるとエネルギー消費が増加するため,体重が減少するが,この場合,食欲は低下せず,むしろ亢進する。 若年者の場合,食事摂取量が上回り,逆に体重が増加する場合があることに注意する。

出典:(PDF) 「甲状腺疾患に対する内科的アプローチ (その1)」耳鼻咽喉科展望,45(1),2002 [PDF]

甲状腺の病気の一つ、「バセドウ病」は体重減少や、発汗量の増加、甲状腺腫、眼球突出などの症状が現れます。バセドウ病に限らず、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるとこうした症状(甲状腺中毒症と呼ばれます)が現れます。
逆に、甲状腺ホルモンが欠乏すると体重減少ではなく、体重増加という症状が現れることがあります。

甲状腺ホルモンの過剰により頻脈,体重減少,手指振戦,発汗増加等の症状がある場合には,広く甲状腺中毒症と呼ぶ.血液生化学検査ではコレステロールの低値と(骨由来の)アルカリホスファターゼの増加が認められることが多い

出典:「I.診療の進歩2.診断ガイドラインの利用と問題点」日本内科学会雑誌,99(4),2010 [PDF]

このように、甲状腺の病気により体重の減少(食べているのに痩せてしまう)だけでなく、体重の増加も症状として現れることは知っておくといいでしょう。

痩せてきたらバセドウ病の疑いが・・

バセドウ病は20~30歳代の若い女性に多く発症する病気で、甲状腺ホルモンが過剰分泌されて甲状腺機能亢進症となります。

甲状腺ホルモンが過剰分泌される「甲状腺機能亢進症」の代表的な病気として挙げられるバセドウ病。甲状腺ホルモンが過剰分泌されてしまう原因は、自己免疫機能の異常です。甲状腺の細胞膜表面のTSH受容体と呼ばれる部分に作用する抗体が異常に作られるというのが病気のメカニズムです。甲状腺を不必要に持続的に刺激してしまうため、消費カロリーも、運動をしなくても不必要に多くなります。その結果、食べていても痩せる、という症状が見られることがあります。ただし、パセドウ病でも食欲が増すため、若い方の場合は却って太るケースもありますので注意が必要です。

必要以上に甲状腺ホルモンをつくりすぎて全身の新陳代謝が過剰に活発になるために、疲れやすくなり、痩せる、動悸や息切れがする、イライラする、眠れない、などの症状があらわれます。月経不順や不妊症の原因にもなります。

バセドウ病の治療

まず抗甲状腺薬で、過剰につくられる甲状腺ホルモンを抑制します。約2か月の服用でほとんど症状はなくなりますが、その後最低1年間は薬物療法を続ける必要があります。

バセドウ病の症状は、臨床初見として頻脈(心拍数が増加して心臓がドキドキする)や体重減少(食べても痩せてしまう)、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見、びまん性甲状腺腫大、眼球の突出または特有の眼症状が挙げられます[1]。

こうした症状が出た場合には、血中の甲状腺ホルモン値などをチェックして、バセドウ病かどうかを診断します。

1.Basedow病
1)診断
(1)キーポイント
1)甲状腺中毒症状とび漫性甲状腺腫
2)血中甲状腺ホルモン高値とTSH抑制
3)抗TSH受容体抗体陽性
4)放射性ヨード摂取率上昇
(2)診断基準
日本甲状腺学会から「バセドウ病の診断ガイドライン 2010」1)が発表されている(表 1).改訂点は,付記 7 として,「甲状腺血流測定が無痛性甲状腺炎との鑑別に有用である.」という項が加わったことである

出典:『5.甲状腺診療のポイントと最近の話題』日本内科学会雑誌,102(3),2013 [PDF]

パセドウ病の症状として現れる、頻脈や体重減少などの甲状腺中毒症で見られる症状は、バセドウ病以外にも、甲状腺機能亢進症や甲状腺クリーゼなどの病気でも見られることがあるため、しっかりと検査をすることが大切です。

参考[1]:「バセドウ病の診断ガイドライン」日本甲状腺学会,2013

考えられるその他の病気

胃腸機能の異常、糖尿病、悪性腫瘍(がん)、そのほかのホルモン異常でも痩せる場合があるので、たくさん食べているのに痩せてきたら、早めに医師の診察を受けましょう。

糖尿病

食べ過ぎによる肥満などが原因で引き起こされるようなイメージのある糖尿病。実は糖尿病の典型的な症状として「体重減少」が挙げられます。遺伝ではなく後天的に発症する2型糖尿病は血糖値が上昇した際に、インスリン分泌障害やインスリン作用障害が起こります。そうなると、体がエネルギーとして糖分を分解する能力がなくなり、せっかく取り込んだ糖(エネルギー源)が体外へ排出されてしまいます。こうした症状は、糖尿病の症状が進行した場合に現れます。

つまり、糖尿病で痩せてしまう理由は、体がエネルギーを取り込んだのにもかかわらず、吸収されないため。糖尿病というと肥満の方の病気、というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、痩せていても糖尿病であることは大いにありえますので気をつけましょう。

【糖尿病の診断】
●別の日に行なった検査で,①~③のいずれかで「糖尿病型」が再確認できれば糖尿病と診断できる.
●ただし,次の 1)~ 4)のいずれかの場合は,1回の検査が「糖尿病型」であれば糖尿病と診断してもよい.
1)口渇,多飲,多尿,体重減少など,糖尿病の典型的な症状がある場合
2)同時に測定した HbA1c値が 6.5% 以上の場合
3)確実な糖尿病網膜症が認められる場合
4)過去に糖尿病型を示した資料(検査データ)がある場合
●検査した血糖値が現在,「糖尿病型」の判定基準以下であっても,上記の条件が満たされた記録がある場合は糖尿病の疑いをもって対応する.

出典:「糖尿病の診断と治療 ―現状と展望―」日本内科学会雑誌,98(4),2009 [PDF]

肝硬変

沈黙の臓器と呼ばれる肝臓の病気、肝硬変は初期症状として体重減少を引き起こすことがあります。これは、肝臓機能が低下することにより、食べ物を消化し、栄養を吸収するための働きが低下してしまうため。そのまま放置してしまえば、低栄養に陥ってしまうため。食事状況を十分に観察して必要に応じて栄養剤などの服用も必要となります。

肝硬変患者の半数は淡白エネルギー低栄養状態(protein0energy malnutrition:PEM)である.PEMは肝硬変の予後を規定する重要な因子であり,PEMを改善するための栄養介入試験が多数報告されている

出典:「肝硬変とNST」日本門脈圧亢進症学会雑誌,19(1),2013 [PDF]

がん

がんが進行すると、がん細胞が作り出す「サイトカイン」という物質の影響で体が炭水化物やタンパク質、脂肪などを正常に代謝できなくなってしまいます。その結果、がん患者の方はエネルギー消費量が増加し、食べても体重が減少してしまいます。
加えて治療の副作用による吐き気や味覚の変化、消化不良、痛みなどにより食欲不振にも陥ってしまいます。

がん患者の方の場合、体重減少を食い止めるためには、少しずつでも食事を食べられるよう、周囲が食事の取り方を工夫してあげる必要があります。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス「食欲不振・体重減少」

甲状腺の病気を疑ったら、早めに病院へ

これらの症状に思い当たるフシがあり、「ひょっとしたら甲状腺の病気かも…」とお思いなら、なるべく早めに病院で診察してもらいましょう。

日本には、甲状腺の病気の罹患者が500~700万人もいると言われており、20人に1人ほどの割合で甲状腺に何らかの異常を持っていることになります。つまり、決して珍しい病気ではなく、誰しもかかる可能性がある身近な病気なのです。

何科に行けばいい?

甲状腺の病気を診てくれる診療科は、一般内科や内分泌内科、耳鼻科などがあります。 耳鼻科と聞くと意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、甲状腺乳頭ガンや甲状腺髄様ガンなどが疑われる際には、耳鼻咽喉科が専門家となります。

なんとなく甲状腺の異常が心配。家族の甲状腺の異常が診断されたことがあり遺伝が心配、という方は症状やケースに合わせてお勧めの診療科が異なります。

甲状腺が大きくもしくは硬くなった、痛みを感じるケース

甲状腺がなんらかの原因で痛みや肥大を生じ、自覚症状がある場合にはバセドウ病や橋本病、甲状腺がん、甲状腺腺腫など様々な病気が疑われます。
甲状腺に異変や異常を感じているなら、まずは耳鼻科がオススメ。近くにあるなら、代謝内分泌内科もいいでしょう。

また、血液検査を受けた際に甲状腺の異変があると指摘されたならまずは代謝内分泌科に行ってみましょう。CTや超音波検査など詳しい検査が受けられます。

甲状腺の病気には「免疫力」と「代謝」で立ち向かう!

甲状腺の病気の予防・対策には、日常のセルフケアが重要です。まず心がけたいのは以下の3ポイントです。

参考:(PDF) 「II-C-52 ストレスによる免変反応の修飾 : ストレス関連伝達物質の好中球活性酸素産生に及ぼす影響(基礎II-免疫-)」心身医学,30,1990[PDF]

参考:(PDF)「FS-4 酵素合成グリコーゲンの免疫賦活作用とそのメカニズム(第1回応用糖質フレッシュシンポジウム~若手研究者ネットワークの構築に向けて~,日本応用糖質科学会平成24年度大会(第61回))」応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌,2(3),2012[PDF]

参考:(PDF)「酵素の話」日本釀造協會雜誌,67(6),1972[PDF]

ストレスについては、日頃からためない・発散させることが大事ですが、「免疫力」と「代謝」を自然に高めるのは中々難しいものです。

そこで注目したいのが『酵素』のパワーです。免疫力&代謝アップに役立つ働きと、おすすめの酵素の選び方を紹介しているので、参考にしてみてください。

【特集】甲状腺を守るためにキーワードは『酵素』

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