やさしく解説!よくわかる甲状腺の病気
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食欲がないのに太る

こちらでは、食欲がないのに太ってきた、といった甲状腺の病気の症状や、そのほかの症状について解説します。

食べてないのに太る甲状腺の病気「橋本病」

それほど食べていないのに、急に太ってきたら要注意です。それは女性に多い甲状腺の病気「橋本病」かもしれません。

橋本病は、橋本策(はかる)博士が1912年に発表した甲状腺機能低下症の名前で、ウイルスや病原菌により発症するのではなく、本来ならウイルスや病原菌をやっつける自己免疫が自身の体に攻撃を向けてしまう自己免疫疾患です。

40~60代の女性に多く発症し、男性にはあまり発症しない病気で、更年期の女性に起こると更年期障害と間違われる場合があります。

橋本病発症のメカニズム

橋本病は甲状腺に炎症が慢性的に引き起こされる病気です。外部からの刺激や異物から身体を守る免疫機能が、自分自身の身体を攻撃してしまう自己免疫が甲状腺に対して反応していることが病気のメカニズムです。

しかしながら、どうして甲状腺細胞に対して自己免疫反応を引き起こしてしまうのかは理由がわかっていません。

橋本病の成因論はなお確立されるには至っていない.臓器特異的自己免疫疾患である橋本病は「甲状腺濾胞細胞に対する免疫反応」がその病態に深く関わっていると考えられる. 橋本病はほとんどの症例では甲状腺機能正常状態を保っているが、終局甲状腺機能低下症へ向かう病態である.従来提唱されてきた橋本病の成因論について若干上げてみたい.甲状腺濾胞細胞を標的とした細胞障害性T細胞が病院に関係しているという説も最近有力である.

出典:(PDF) 「2.橋本病の成因と病態」日本内科学会雑誌,86(7),1997 [PDF]

橋本病の症状

橋本病の症状には、甲状腺全体の腫れ、急に体重が増える、疲れやすい、寒がりになる、記憶力低下、脱毛、話し方や動作が緩慢になる、皮膚が乾燥する、汗をかかない、声枯れ、むくみ、便秘、不妊・流産(女性)などがあり、初期には甲状腺機能亢進によって動悸、体重減少、発熱、発汗などの機能低下とは逆の症状が起こることもあります。

橋本病は、すぐに甲状腺機能が低下するわけではありません。初期段階では甲状腺の炎症により、甲状腺の腫れやむくみ、痛みなどが見られます。
血液検査では血中の甲状腺刺激ホルモンの分泌量が増加。甲状腺ホルモンの分泌量は低下することが見られます。症状としては具体的にむくみ、甲状腺肥大、皮膚の乾燥、冷え、徐脈、息切れ、便秘、筋肉がつるなどの症状が多く見られます。

しかしながら、こうした症状は長い期間をかけて少しずつ出現することが多いため、患者さん本人も気がつかないことも少なくありません。

長い期間をかけて出現する症状(表8)のため、自分では気づかなかったり、気にしないことが多い病気です。ご自分や周りの人がおかしいと思ったらなるべく早く診察を受けましょう。

出典:(PDF) 一般財団法人 日本健康増進財団「いきいき健康だより」2013 [PDF]

橋本病の検査と治療

橋本病の検査は問診、触診、血液検査、細胞診を行いますが、血液検査では甲状腺ホルモン、甲状腺抗体のチェックを行います。

具体的な診断内容としては、身体所見として「びまん性甲状腺腫大」があるかどうか。特徴的な症状があるかどうかなどを確認します。また、検査所見としてはTSH値が高くないか(5μU/mL以上)、血中甲状腺ホルモン(FT4、 FT3)は低くないか、抗サイログロプリン(Tg)抗体が妖精かどうかで診断されます。

治療に関しては、甲状腺ホルモンが不足している場合、ホルモンを補充する対症療法が採用されます。特に甲状腺機能の低下が見られない場合には、経過観察のみとなるケースが多いでしょう。ホルモン補充は、薬を毎日服用する形となり、特に入院などは必要ありません。
定期的にTSH、FT4値などをチェックして、甲状腺ホルモン薬の量を調節していくこととなります。

治療は、不足している甲状腺ホルモンの補充が唯一の治療法であり、安全で簡単な方法です。ただし、原因療法ではなく対症療法のため、障害服用することが多く、治療は規則正しく、長く続ける必要があります。

出典:(PDF) 一般財団法人 日本健康増進財団「いきいき健康だより」2013 [PDF]

考えられるその他の病気

体重増加に気をつけているにも関わらずお腹がぽっこり膨らんできたような場合には、甲状腺の病気以外にも肝硬変や、卵巣腫瘍なども疑われます。

気になる病気や症状についてご紹介するので、詳しくチェックしてみてくださいね。

肝硬変

肝硬変といえば、アルコールの取り過ぎなどによって肝臓に生じた傷を修復する際にできるタンパク質が増加し、肝臓全体に広がることにより発症するものです。

黄疸などの症状が有名ですが、それ以外にも腹部に水が溜まって下腹部からお腹全体が膨満するために太って見えてしまうこともあります。これは、「腹水」と、見られる症状です。肝臓で作られるタンパク質であるアルブミンが低下し、門脈と呼ばれる部分への圧力が高くなることにより下腹部が肥満してしまいます。

大量の腹水が発生した場合には呼吸困難に繋がることもあるので、異常な下腹部の膨満を感じる場合は病院で検査を受けましょう。全く心当たりがないのに下腹部がぽっこりしてきたようなケースでは特に注意が必要だといえるでしょう。

アルコール性のものの他にもB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスといったウイルス性のものや自己免疫性、代謝性などのものがあり、肝硬変になった場合の自覚症状としては次のようなものがみられます。

血液検査や画像診断によって診察を行い、肝硬変と診断された場合は治療に取り組んでいかなければなりません。しかし、肝硬変自体を治療する薬剤はほとんどないこともあり、食事療法で減塩に取り組むなどして長期でみた治療が必要になるケースも多いです。

参考: 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター:肝硬変

卵巣腫瘍

その名の通り、卵巣にできる腫瘍のことです。主な症状は次の通り。

腫瘍と聞くと不安になりますが、必ずしも悪性とは限りません。例えば、卵巣の中に液体がたまって腫れる良性の卵巣腫瘍「卵巣嚢腫」もあります。

こちらは下腹部がぽっこりと膨らんで太ったように見えるのが特徴です。時には直径20センチ以上になることもあるのですが、このような状態になると膀胱や直腸が圧迫されてしまい、頻尿や便秘といったトラブルが出てくることがあります。中には、腹囲の増大に気づいて婦人科を受診し、検査を受けて卵巣腫瘍に気づく方も多いです。

その一方で、ただ太っただけだと思い込んでしまい、放置してしまう方もいます。不正出血など子宮筋腫でみられるような症状があまり出ないのも気づくのが遅れる理由の一つだといえるでしょう。

卵巣腫瘍の90%は良性のものではありますが、具体的に良性か・悪性かについては検査を受けてみなければわかりません。「ダイエットにも取り組んでいるし、食事の量が増えたわけではないのにお腹が出てきた…」と感じる場合は要注意です。

参考: 公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会:卵巣腫瘍

多嚢胞性卵巣症候群

病気というよりも病態といえるものの一つで、代表的な排卵障害です。英語名であるpolycystic ovarian syndromeという英語の頭文字を取り、「PCOS」と呼ばれることもあります。

この症状は、特に若い女性に多く見られるもので、通常よりも卵胞の発育に時間がかかり、なかなか排卵がされない疾患です。自覚できる症状としては次のものが挙げられるのでチェックみてくださいね。

例えば本邦では月経異常(無月経、希発月経、排卵周期症のいずれか)と多嚢胞卵巣、血中男性ホルモン高値またはLH(黄体化ホルモン)基礎値高値かつFSH(卵胞刺激ホルモン)基礎値正常といった条件がすべて該当する場合に、多嚢胞性卵巣症候群と診断されます。ここからもわかる通り、自覚しやすい生理不順などの症状がみられるため、比較的気づきやすい症状ともいえるでしょう。

この症状の原因はまだはっきりと解明されていません。しかし、大きな原因として考えられているのが内分泌異常、または糖代謝の異常によるものです。

まず、内分泌異常についてですが、通常は脳下垂体から黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンが出て卵胞を発育させるのですが、黄体化ホルモンの分泌量が増えてしまうことによりうまく卵胞刺激ホルモンとのバランスが取れなくなり、十分に卵胞が育たずに排卵が起きないのではないかと考えられています。

続いて糖代謝異常に関してです。症状が出て肥満に繋がるケースでは、こちらが関係しています。なぜこの症状が起きると太りやすくなるのか?というと、大きな理由はインスリン抵抗性によるものです。

インスリンとは血糖値を下げる働きを持ったホルモンなのですが、これがうまく働かないインスリン抵抗性の状態になると肥満が発生しやすくなります。つまり、食生活や運動習慣が変わっていないのに太ったと感じる場合には、多嚢胞性卵巣症候群がインスリン抵抗性を引き起こしているケースもあるのです。

インスリンはすい臓から分泌されるホルモンのことで、身体がエネルギーを得るために欠かせない役割を持っています。しかし、インスリン抵抗性状態になるとインスリンの量が増加し、必要以上にエネルギーを作ってしまい、それが脂肪として蓄積されやすくなることも…。

このような理由により、多嚢胞性卵巣症候群は肥満を作る原因の一つになります。

参考: 聖マリアンナ医科大学病院生殖医療センター:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

うつ病

精神的なストレスが原因で太ることもあります。特に女性の中には精神的なストレスを溜め込んでしまう方も多く、なかなか気分が晴れなかったり、考えすぎてしまう方もいますよね。

うつ病といえばどちらかというと食欲が低下するのでは?と思うかもしれませんが、非定型うつ病と呼ばれるタイプのものは甘いものを求めるようになり、食欲が増えてしまいます。

こちらのタイプのうつ病は特に夕方から夜にかけて不安定になりやすい特徴を持っているため、該当するような症状があれば、うつ病が原因で甘いものを食べる回数が増えていないかチェックしてみましょう。

甲状腺の病気を疑ったら、早めに病院へ

これらの症状に思い当たるフシがあり、「ひょっとしたら甲状腺の病気かも…」とお思いなら、なるべく早めに病院で診察してもらいましょう。

日本には、甲状腺の病気の罹患者が500~700万人もいると言われており、20人に1人ほどの割合で甲状腺に何らかの異常を持っていることになります。つまり、決して珍しい病気ではなく、誰しもかかる可能性がある身近な病気なのです。

甲状腺の病気には「免疫力」と「代謝」で立ち向かう!

甲状腺の病気の予防・対策には、日常のセルフケアが重要です。まず心がけたいのは以下の3ポイントです。

ストレスについては、日頃からためない・発散させることが大事ですが、「免疫力」と「代謝」を自然に高めるのは中々難しいものです。

そこで注目したいのが『酵素』のパワーです。免疫力&代謝アップに役立つ働きと、おすすめの酵素の選び方を紹介しているので、参考にしてみてください。

【特集】甲状腺を守るためにキーワードは『酵素』

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